Sommelier Profile
京都伏見の小さなカウンターから、イタリア全20州の畑の息づかいまで。
ワインが「嫌い」だったところから始まり、イタリアでの修行と現地の造り手との出会いを重ねて育んできた
イタリアワインへの想いをお届けします。
イタリアソムリエ協会認定ソムリエ / 調理師 / SOAVE大使(2022年-)
Abruzzoワイン大使(2026年拝命予定) / イタリアワイン Enoteca C.d.G オーナーソムリエ
京都・伏見の地で、イタリアワイン専門バー イタリアワイン Enoteca C.d.G を営みながら、 インポーター様主催の生産者来日セミナーや試飲会、商談会に足しげく参加し、 「本場の今」を知ることを大切にしています。
店舗では、均一価格のグラスワインで多彩なイタリアワインを楽しんでいただきつつ、 専門学校でのワイン講義や、Prosecco販促イベントスタッフ、店内での初心者向けワイン講座など、 ワインの楽しさを広げる活動も不定期で行っています。
「ワインなんて二度と飲みたくない」から始まった物語
過去に「傷んだフランスワインを無理やり飲まされた経験」から、当時はワインが大嫌いで、 「もう二度と飲みたくない」と思っていました。
そんな中、ルームシェア初日の挨拶に、同居人が南イタリア・カラブリア州 LIBRANDI社の Ciro 2001 を持って部屋の扉をノックします。 これから一つ屋根の下で暮らす相手に「嫌い」とは言えず、一口だけ口に含んだ瞬間、 豊かな果実味、適度な酸味とタンニン、スッと喉を流れる飲みやすさに衝撃を受けました。
さらに、そのワインが「下のスーパーで1本1ユーロ(当時約125円)」と知り、二度驚きます。 そこから、飲まなかった期間を取り戻すようにさまざまなワインに手を伸ばし、 およそ1年弱で約4,000種類ものワインと出会うことになります。 友人たちからの「ワインの道に進めばいいのに」という言葉もあり、 シェフとしての道からソムリエを志すきっかけとなりました。
南青山の有名店で丁稚として料理人の道を歩み始めたのち、決まっていた社員登用を辞退し、 2003年にフィレンツェへ渡ります。 しかし当初はイタリア語がほとんど話せず、「話せなければ生きていけない」と覚悟を決めて猛勉強。 約3ヶ月で日常会話ができるまでになりました。
当初はキッチンでの修行を続けるつもりでしたが、ワインと出会ってからは、 ホールでワインに触れている時間が楽しくて仕方なくなり、 勉強は「飲んで、飲んで、飲みまくる」ところからスタートしました。
フィレンツェ滞在中は、ほぼ毎週キャンティ・クラシコ地区へ足を延ばし、 ワイナリーやワインショップ、バールを巡る日々。 Grave in Chianti で食べた Tagliatelle al Ragu di Cinghiale(猪の煮込みソースのタリアテッレ)と Chianti Classico の相性には、大きな衝撃を受けました。
同じ町にある、常時300種類ほどの試飲がいつでも出来るエノテカにも通い詰め、 多くの造り手のワインに触れさせてもらいました。 (トイレでサソリと見つめ合ったのは、ここだけの話です。)
行きつけのバールやワインショップのオーナーやスタッフが徐々に自分を覚えてくれるようになり、 新入荷ワインの試飲に呼んでいただいたり、キャンティの歴史あるワイナリーで開催される 大きな試飲会に誘っていただくなど、ワインの輪の中に入れてもらえるようになりました。
また当時は、仲間内でほぼ毎週末少人数のパーティを開き、 月に一度は50名近くが集まる国際色豊かなパーティを企画していました。 その際のワインセレクトを任され、最高で28か国の友人たちに喜んでもらえたことは、 「人とワインをつなぐ楽しさ」を実感した大切な経験です。
一度日本に帰国したのち、銀座のフュージョン料理店で働きながら機会を待ち、 2007年、イタリアソムリエ協会(A.I.S)プログラムに参加するため再びイタリアへ。 ピエモンテ州のA.I.S支部で授業を受けながら、 当時ミシュラン二つ星のレストラン「FLIPOT」(現在は同名で別経営)で下積みを重ねました。
やがてソムリエ資格を取得し、メインソムリエとして従事。 Barolo(バローロ)や Barbaresco(バルバレスコ)をはじめとした銘醸ワインから、 土着品種を用いた小さな造り手まで、多彩なワインに日々向き合いました。
休日にはバローロ地区やバルバレスコ地区を巡り、 Marchesi di Barolo や Bartolo Mascarello をはじめとする老舗から新興生産者まで幅広く訪問。 働いていたリストランテにも多くの有名生産者が来店され、 造り手本人から畑や哲学について直接話を聞ける、貴重な時間を過ごしました。
特に、Bartolo Mascarello のオーナー Maria Teresa Mascarello 女史は、 とても丁寧に時間をかけてワイナリーを案内してくださり、 エチケット(ラベル)に込められた遊び心や想い、家族の歴史を語ってくれました。 バローロのエチケットに使われた原画の複製画をいただいたことは、 今でも大切な思い出のひとつです。
滞在許可証の更新が間に合わず、再び帰国。 その後しばらくは東京で電車通勤を続けていましたが、 満員電車の日々に嫌気が差し、「どこか別の場所で暮らしたい」と考えるようになります。
そこで選んだのが、縁もゆかりもなかった京都。 たまたま宇治のイタリアンレストラン BRIO の当時のオーナーシェフが、 イタリアでの知人の先輩というご縁があり、同店で4年以上従事しました。
その後、独立を決意し、京都・伏見に小さなカウンターのイタリアワイン専門バー 「イタリアワイン Enoteca C.d.G」をオープン。 酒処・伏見の路地に、イタリアで得た経験と感性を日本のお客様にお届けする場として、 現在も歩みを続けています。
2022年には、SOAVE STYLE にて全国28位となり、同年 SOAVE大使に任命。 その後キャンペーンが SOAVIAMO に変わってからは、 2年連続で席割全国2位を獲得し、2025年にはついに全国1位となりました。 そのご縁から、2026年にはSOAVEへの招待が予定されています。
さらに2026年には、Abruzzoワイン大使の拝命も予定されており、 イタリア各地の魅力あるワインを日本に伝える役割を、これからも担っていきたいと考えています。
コロナ禍以降は渡伊が難しい状況が続いていますが、 それまでは毎年10月頃に1か月ほど店を閉め、イタリア各地を巡って勉強していました。 今では、仲良くしていただいているインポーターさんや同業者、お客様とのコミュニケーションを通じて、 日々多くの刺激をいただいています。
「今、おいしい」一杯を、会話とともに
イタリア共和国は、世界最大のワイン生産国。 北から南まで全20州でワインが造られ、それぞれの地域に独自のブドウ品種と文化が息づいています。
私が特に魅力的だと感じているのは、 ワイン法のカテゴリーや格付けよりも「おいしさそのもの」を追求する イタリアならではの価値観です。 その自由さと土地ごとの個性豊かな味わいを、 日本の方にもっともっと知っていただきたいと考えています。
当店では、グラスワインを均一価格でご提供しています。 それは、「値段」ではなく「味わい」で選んでいただきたいから。 産地や格付けにとらわれず、純粋においしさを感じていただくためのスタイルです。
また、あえて「ワインリスト」を置いていません。 その代わりに、お客様との会話の中から、その時の気分や好みを伺い、 その瞬間に一番寄り添える一杯をお選びします。
初めてご来店のお客様から「おすすめを」と言われることがありますが、 正直に言うと、当店には「おすすめしか置いていません」。 せっかくなので、ぜひその日の気分や、好きな味わいを気軽にお聞かせください。
ヴィンテージや希少性も魅力のひとつですが、 それ以上に「今飲んでおいしいかどうか」を大切にしています。 若いヴィンテージならではのフレッシュさや果実味、 熟成を重ねたワインの複雑さ、それぞれの持ち味を尊重しながら、 そのワインが一番バランス良く楽しめるタイミングを意識して選んでいます。
調理師としての経験も活かしつつ、ワインに寄り添う料理もご用意。 主役はあくまでワインですが、一緒に口に運んだときに 「おいしさが一段階ふくらむ」ような組み合わせを心がけています。
イタリアワインの「沼」への入り口でありたい
イタリアと日本をつなぐ架け橋として
インポーター様主催の生産者来日セミナーや試飲会、商談会に継続的に参加し、 現地の最新情報や造り手の声を日本のお客様へと橋渡ししています。
コロナ禍以前は、毎年10月ごろに1か月ほど店を閉め、 イタリア各地を巡ってワイナリー訪問やテイスティングを行うなど、 現地での学びを続けてきました。
現在は、インポーターの皆様や同業者、お客様との会話からも多くの刺激をいただきながら、 日々のグラスワインの選定や新しいボトルの開拓に活かしています。